『がんばるの、やめました』城田彩子著を読んでみた。

頑張っている人は報われる!

頑張っている人は輝いている!

頑張っている人は〇〇〇〇!!

自分もこれまで努力至上主義な考えの持ち主でした。『努力は買ってでもしろ』『器用貧乏はいずれ負ける』『努力に勝る物は無い』など、すり込みの様に言われて育った記憶があります。故に、自然とその考え方が定着していました。そしてそう信じてこれまで生きてきていました。

ところが、ここ最近は苦あれば楽ありが真実なのか?楽は敵なのか?頑張る=苦しい事なのか?などという疑問について今一度考え直す時期が来ていました。(人生の変革期なのでしょうか)

そんなおり、努力至上主義の真逆をいくこの題名に引かれ、読んでみた。

『がんばるの、やめました』

本書の内容は著者曰く

本書を通じてお伝えしたいのは、『がんばらない』ことによって、どのようい人生が好転するか、といった事です。

とあるが、当然、最初は半信半疑はおろか、そんな訳ない!!と思って読み始めた。

読み終わってみて、私なりに内容を簡単に表現すると、『物事は己自身の見方、捉え方、思考の仕方で全て変わる(良くも悪くもなる)』だ。意訳するとそんな事かと思われるかもしれないが、それを『頑張らない』という事に焦点あてて説明しているため、なかなか目からウロコ状態で面白く読める。

『がんばらない』=『なまける』と捉える人も多いと思われるが、この本では『なまけろ』『なまけていても何でも手に入る』と説いている訳ではない。

『がんばる』≒『苦しみに耐え続ける』と捉え、『苦しい思いを続ける』=『いつか幸せになれる』ではないよ、と教えてくれている。

自分なりに気になる箇所をあげながら見ていこう。

まず冒頭に

一生懸命がんばっている「のに」結果が伴わない・・・という人は、自分自身が、一生懸命がんばっている「から」結果が伴わないのだ、ということに気付いていないのです。

とある。

また、

あなたがが何かに対して「がんばる」という言葉を使う時、それはあなたが対象に「抵抗している」ことをおらわしています。

「がんばれ」という言葉ほど、思考を介さずに発することができるものはないのです。

「一生懸命」「汗水(さらには血までも)流して」「とにかくがんばれば」いつか成功できる・・・というのは果たして真実なのでしょうか?

というように、スタートから『がんばる』にたいする疑問をバシバシ投げかけてくる。

この時点では、『だって、努力は報われる。何でも一生懸命やりなさい。って言われて育ったからなぁ、違う事ないでしょう?』とも思ったが、

「がんばれば成功できる」とか「努力なしに成功できない」といった思考は、個人オリジナルのものではなく、他人からの受け売りである事がほとんどなのです。

「努力主義」の背景には、「他人がそう言っていたからなんとなく・・・」という根拠のない思いこみが隠れているのです。

と続いたところで、少々ドキッとする。全くそうか否かは人によると思うが、確かにとうなずけもする。

そして、

あなたが人生で、具体的な成果をあげたり他の人には叶えられないであろう大きな変化をもたらすためには「がんばること」よりも、「人生を楽しむこと」に重点を置く必要があります。

あなたの人生を形作るのは、あなたの努力や行動ではなく、あなたが人生に対して「考えていること」です。

人生は、「思考の選択」によって決まる。

と続いて行きます。

そして、人生を成功に導く為に、嫌な事ややりたくない事からは意識をはずし、やりたい事やこうでありたいという状況、欲しいもの行きたい場所などに意識を集中させるとよい。

多くのメディアや大衆からの情報を能動的に受け入れて、それが当たり前と思い込んでしまう事がそもそもの誤りである。自分にとって有害な情報は取り込まないようにする。一番大事な事は自分に有利な思考を選び続けて行く事にあると説いている。

つまり、そうやって自分にとって有益な思考、情報だけに囲まれるようにすることで、目標へ向かっている道のり自体を楽しむ事ができ、さらにそれによって得られた結果にも幸せを感じる事が出来る。すると、嫌な事を頑張ってやるという状況が生まれず、常に幸せを感じ続けられるということのようだ。

さらに本書では、どのようにしてそのような思考を自分に定着させるか、無意識にそのような思考の選択が出来るようになるか、についても詳しく説明している。

 

ここで、そもそもがんばることはいけないのか?なんでがんばったら駄目なの?という疑問も聞こえてきそうだ。

 

しかし、本書も『がんばること』や『努力する事』を絶対的に否定しているという事ではないと思う。そこに『苦痛』が伴っている事が問題だと言っているのだ。また単純に 努力=報われる の図式は必ずしも成り立たないということだ。

苦痛を伴う努力の末に得られた結果に満足するとき、その喜びは一瞬であり、また次の結果を得る為に努力が始まる。すると、苦痛の時間の方が長くなってゆき、やがて疲れてしまう。こういう努力スパイラルを続けていると、いったい何の為に生きているのか?と人生自体を見失う可能性があるようだ。

また、義務感も度が過ぎると悪影響だとある。『自分のやるべきこと』を一生懸命探して、それが見つからないと必要以上に苦しんでしまう事もあると。それよりも努力や義務という堅苦しい信念から解放される方が、自由で新しいアイディアややりたい事が浮かんでくるという。

やらなければいけないことなど、何も無い。

という一文はグサッときた。

とは言え、やはり『がんばらない』=『怠慢』と思ってしまいがちな自分がまだいるのだが、最後に

願望を叶えるために、リラックスして良い気分なっているあなたを、「怠慢だ」という人は、願望に意識を向けることすらせず、愚痴を言いながらただ日常の出来事を反芻し、繰り返しているだけなのです。それこそが「怠慢」だとは思いませんか?

と結論づけてくるのだ。

確かに、本当は日々の仕事に満足していない、でも家族や家を守る為にもお金が必要だし、仕方ない!本当は〇〇がしたいけど、〇〇を仕事にしたいけど、それは甘えだ!と自分に言い聞かせてしまいがちな世の中。そこに、むしろその自分の本質である願望に目を向けずに、苦痛の努力や頑張りを黙々と続けていることの方が怠惰である。と言われれば、ハッと思う所もある。

努力やがんばりを悪と言っている訳ではないと自分は解釈した。

ただ、その行動に、しっかりとした自分を良い気分にさせる思考が裏付けられていることが大切だと言うこと。

成りたい自分、歩みたい人生を自分の本心に正直に思い描き、そのイメージに向かって、やりたいように(非道徳的なことは除外するが)その目標への歩み自体を楽しみながら、幸せと成功をつかんでいくべきではないか?そんな風に受け取った。

全てを鵜呑みにして右にならえで実践する必要は無いと思うが、今まで自分に無い考え方を取り入れる意味では非常に良い本でした。