医療用イラストならではの利点・描き方。論文・著書・学会発表という目的に合わせる

医療用イラストならではの利点・描き方。論文・著書・学会発表という目的に合わせる

医療用イラストを描く仕事もさせて頂いています。写真では表せない医療用イラストならではの利点があります。

どのようなものか改めて紹介させて頂きます。

 

 

⒈ 医療用イラストの利点

 

医療用イラストの利点は

・情報量をコントロールできる
・強弱をつけられる(フォーカス)
・アングルが自由自在
・写実的と抽象的の使い分けができる

だと考えています。

 

総じて言えば、前回の記事にも書きましたが“イラストならではの調節性の良さを存分に使う”ということになります。

写真でも、photoshopなどを使って編集はできますが、あくまでそこに写っている情報が土台です。写ってないものを見えるようにしたり、アングルを変えることは困難です。

 

↓前回記事も参考に拝読ください↓

医療用イラストに求められる事・心がけている事

 

 

⒉ 医療用イラストの実例

 

・情報量をコントロールできる

写真の場合は、視野に入っているもの全てが写ります。イラストの場合は見せたいものだけを描くことができます。何かを説明する上で、あまり重要ではない物(情報)は意図的にカットできるのです。

余計な情報が多いと、イラストの何を見れば良いのかが不明瞭になることがあります。情報をコントロールすることによって、読み手の視点を見てほしいポイントに誘導することができます。
・強弱をつけられる(フォーカス)

イラストでは、部分的に色を変える、濃淡を付ける、透かす、といったことができます。これによって、イラストのフォーカスを強調することができます。読み手に見てほしいポイントを強調することができるのです。周囲の組織も多少描かないと伝えたいことがうまく伝わらない、でもその情報にはあまり目を奪われたくない、という場合に効果的です。
・アングルが自由自在

写真では撮れないアングルからのイメージでも、イラストであれば作り上げることができます。断面、上から、下から、内側から、斜めから、なんでもありです。これもかなり効果的な利点です。

 

 

実際に自身のイラストで見てみましょう。

(イラストの著作権は作者と依頼者に帰属しています。無断コピー、転用は固くお断りしております。)

 

Horizontal Alveolar Ridge Augmentation in Implant Dentistry: A Surgical Manualに掲載されている自身のイラストです。

小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama

口腔内の下顎前歯部の様子です。口唇や舌などの情報は敢えて描いていません。このイラストの場合は口唇や舌は重要でないからです。

これによって、読み手の視点をすぐに骨とインプラント体に引き寄せることができます。それでいて、周囲の歯牙は必要最低限描きイメージを湧きやすくしています。

①の状態も写真では無理ですね。イラストならではの状況が作り上げられます。
②と③は、③で皮質骨を透かすことによって内部の状況も伝えることができます。

 

 

次に、学会発表用に依頼を受けて描いたイラストです。

小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama

どれもAlar cinch suture に関するイラストです。
①では縫合糸にだけ色をつけています。どことどこを縫合するのか、どこに縫合用の穴を開けているのかなどにフォーカスを当てるためです。
②と③では色の濃淡をつけています。②では骨の情報も伝えつつ、筋肉の位置の情報と縫合を強調する意図で描いています。
③は総合的な情報をもたせたイラストです。骨、筋肉、骨切りライン、プレートの位置、縫合の位置を一つにまとめています。1枚のイラストに収める情報量が多いので、梨状孔(鼻)の部分のみ濃い色にし周囲の骨や筋肉は若干淡くしています。全て同じ濃さで描くとごちゃごちゃしすぎて焦点が定まらなくなるからです。

 

 

続いて、ソケットプリザベーション―歯槽堤温存を考慮した抜歯術に掲載させていただいたイラスト(①〜④)です。

 

小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama

 

小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama

 

①〜⑥は写真では撮れないアングルです。X線写真では可能ですが、何組織までは表現できません。

④もイラストならではのアングルです。上顎大臼歯を根尖側斜めから捉えたイメージです。抜歯の際の分割線を描いています。

⑤、⑥ではアングルの他に、スクリューやインプラント体をリアルに描いて強調しています。反対に何組織の色は薄くして、存在しつつも存在感が出過ぎないように工夫しています。

 

 

スクリューやインプラント体も実際に自分で描いたものを使用しています。ブラシ機能で影やハイライトをつけることで、遠目に見るとリアルに見えるように描いています。

小山慶介 Keisuke Koyama

小山慶介 Keisuke Koyama

小山慶介 Keisuke Koyama

 

 

 

最後に婦人科の先生からの依頼で論文用に描いたイラストです。以前勤めていた霞ヶ浦医療センターの前院長からの依頼でした。

A New Myomectomy Technique For Diffuse Uterine Leiomyomatosis  Dr. Masato Nishida という論文です。

小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama
小山慶介 Keisuke Koyama

 

こちらは子宮筋腫の新しい術式を紹介するためのイラストです。白黒ですが影も線で描き重たくならないようにしています。また、子宮以外の部分は割愛しています。手は描きますが腕までは描かない、という工夫で情報量をコントロールしています。

 

 

 

・写実的と抽象的の使い分けができる

目的に応じて写実的なイラストと抽象的なイラストを選ぶ事もできます。

上記に紹介したイラストは写実的な分類です。術式や解剖学的な情報が必要な場合にはほとんど写実的に描いています。

しかし、実験の方法であったり、ある事柄の機序を説明する場合には抽象的なイラストにすることがあります。これは、機序そのものが重要であり、物体にあまり具体的なイメージが要らないからです。具体的なイメージが前に出すぎると、機序そのものがボヤけてしまう場合に効果的です。

 

オランダで所属させていただいている講座の同僚に依頼されて描いたイラストです。

Bone invasion by oral squamous cell carcinoma: Essential molecular alterations leading to osteoclastogenesis – A review of literature という論文に掲載されています。

小山慶介 Keisuke Koyama

小山慶介 Keisuke Koyama

小山慶介 Keisuke Koyama

これらのイラストで重要なことは、腫瘍が持つ広がり方の性質です。膨張型なのか浸潤型なのかという性質そのものをイメージしてもらうことが目的です。その腫瘍がどんな見た目か、どの部位の話か、といったことは重要ではありません。

こうした場合には、抽象的なイラストがとても効果的です。

⒊ イラストの注文

医療用イラストに限らず、イラストというものが持ちうる利点を紹介しました。

現役で口腔外科医としても現在オランダで奮闘中です。

イラストは一点一点手を抜くことなく、その時持ちうる最大限の技量を発揮するように毎回勤めて描いています。

論文、著書、学会発表などでイラストがご入用な方は是非ご相談ください。(個人対応な為、状況によっては納品に日数がかかる場合があります。)

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お先にどうぞ。
Ga je gaan.
(ハー イェ ハーン)